ジェノヴァで国際間の経済力格差の問題
を深く考え過ぎた私は、イタリアのミラノで
自分の経済力を知ることに・・・。
7月9日 (日) ジェノヴァから ミラノへ
「最後の晩餐より最後の審判」
ミラノへ来た。もちろん、サンタ・マリア・デラ・グラツイエ教会にいくためである。なぜそこかというと、もちろんミケランジェロの「最後の晩餐」を見るためだ。なぜ見るの?っていわれると、そうだよね、みんなが見たがっているからだよね。それしか理由はない。
しかもそこには、一人では教会に入れないそうで、その教会が認めた団体のツアーに参加しないとならないそうだ。それだけ貴重だってことだ。それにあのミケランジェロですよ。ルネッサンスの。
最近、ダビンチ・コードという映画もつくられたじゃないか・・・。
そうまでいわれれば見たくなるのは当然で、宿を決めたあとそこの受付に尋ねると駅のツーリストインフォで世話をしているという。駅に行くと年配の係が待ってましたという顔で応対してくれた。
用件を飲み込み、それを見るのにはあんたに十分な時間とお金があるかどうかだよと、やや異なことをいう。今日はツアーはもう出てしまって入れない。明日は休館日。あさって火曜の8時45分の10分か15分くらい前に、教会のそばのインフォセンターにきて、50ユーロ(7500円)払えば入れるね。
なるほど確かに時間とお金の両方だ。時間もお金もないしなー。
ハイ、結論。ヤメ。これを「最後の審判」という。
「教会とワールドカップの微妙な関係」
ミラノにはもうひとつ有名なところがある。ドウオモだ。1386年に始まり、完成したのが500年後の1887年という。教会建築物としてはヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂に次ぐ大きさだそうだ。135の尖塔、2245の彫像どれをとってもイタリアを代表するものだ。
地下鉄を使いドウオモ広場に行くと、大勢の若者がイタリア国旗を持って叫んだり、プープーとラッパの音がするスプレーを鳴らして騒いでいる。今日の夜8時からワールドカップの決勝戦だ。まだ4時間前なのに3千人は集まっているだろう。
そしてドウオモは修復工事中で、広場側正面や脇の尖塔が一部見えないことが残念であった。内部ではミサが行われていたが、広場の騒ぎが神父の声をかき消し勝ちであった。この大きな構造物を支える柱の太さは尋常なものではない。直径3メートルはあろうかと思える石の柱が数百本もある。
むかし、東大寺の柱の太さに驚いたことがある。直径はおそらく1メートル50センチくらいであったか。1本の柱には穴があけてありそこを通れれば災難をよけるというので、多くの善男善女が喜々として試していた。その柱のゆうに倍の太さはあるであろう。
こうした巨大建造物を人はなぜ求めるのだろう。より大きく、より高く。より天に近く。
暑い盛りのヨーロッパ旅行中に教会は、ときに絶好の休息所となる。厚い石壁でおおわれ、高い天井が日を遮ってくれているので、外と2~3度の温度差がある。
ほとんど毎日、どこかの街どこかの教会で休息させていただいた私は神への信仰のスタイルを見につけた。まず、教会に入るときには帽子を脱ぐ、祭壇のほうに向かって十字をきる。ならんだ長椅子に座っても、靴で台を踏まない。そこは膝をついて祈るときのものだ。音は立てない。一度ミュンヘンの教会でクシャミをしたら10秒間くらい堂内でコダマしていたことがある。椅子を立ったら、祭壇に向かって十字をきり、片方の膝を落とし礼をする。最後に教会の出口にある聖水を指につけまた十字をきり、退出する。門内の小僧、習わぬ礼をする。
神よ。こんな私をお許しください。
「群集で全然見えない大画面」
決勝戦が始まる午後8時ころ、ドウオモ広場前の群集は2万人くらいに増えていた。主催者はいないので正確な数字はわからない。アチコチで煙が上がり、異様な雰囲気である。中央のテレビの大画面が群集で見えない。向かいのビルに上がるが、前に5重6重に人がいてよく見えない。
かなり下がって地下鉄の階段の手すりに上がって、後ろに落ちれば怪我を覚悟でみた。しかし選手は豆粒。これならどこかのレスラトランで見たほうがよほど利口だ。が、イタリアンは騒ぎが好きなのである。自宅のテレビでは満足せず、わざわざここまで出かけてきているのだ。
私も路上でイタリアカラーの帽子を買った。5ユーロと安かったのだが、KENWOOD のマーク入りでたぶん、ギブアウェイ(無料提供品)であっただろう。
1対1で前半が終了したので、ホテル近くのレストランで見ようとドウオモ広場をあとにする。小さなバーが開いていて中でテレビが見れた。白ワインにサラダ、パンもついてきた。これで7ユーロなんだからこっちが正解。
試合は後半にフランスのジダンがイタリアの選手の胸に頭突きをくらわせ、レッドカードで一発退場となり、イタリアにとってはたいへんラッキーな展開となった。
結局1-1の末のペナルテイ・キック合戦でイタリアがフランスを降し、優勝。その時は店内も大騒ぎで、いきなり街に大声で駆け出す人も、外から駆け込んで大騒ぎするひともいた。
しばらくテレビはサッカー場内の興奮を伝え、またイタリアの諸都市の状況を伝えていたが、ミラノのドウオモ広場はなかでも一番の騒ぎのようだった。イタリアおめでとう。