⑤ギリシヤ・ミコノス島

憧れのサントリーニ島からミコノスへと
移動。途中、いくつかの島を経由しなが
ら、美しいエーゲ海を渡っていくと・・・。


   6月30日 (金) ミコノス島へ


「ミコノスもレンタモトで走る」

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 ミコノス島へ高速船でわたる。途中イオスやナクソスといった島を経由し、5時間ほどで着いた。
この島はサントリーニに比べ平坦でなだらかな丘がいくつか見える。街は港からはじまり、やはり白い家やギリシヤ正教の教会が密集している。バスの姿がみつからずタクシーを雇ってホテルまで行く。港と街を見下ろす丘の上にホテルはあり、歩けば15分くらいであろう。しかし重い荷物を持ってこの坂を登る気にはならない。

 レンタモトを借りたいとホテルの受付でいうとすぐ電話してくれ、店の人が迎えにきてくれた。
地図ももらい、いいかげんに見当をつけて走り出すといつしかプラテイ・ヤロスというビーチについた。

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 そこはこの島では有名なパラダイス・ビーチにいく渡船がでる場所であった。そこには明日行くとして、日本でいうところの「海の家」で昼の食事をとる。こちらの海の家は高級で、普通のレストランが浜辺にあるのと変らない。
 浜辺には、パラソルのように棕櫚かなにかの葉で屋根をまるく葺いた貸し席が整然と並んでいて、だれでも借りることができる。


 島のほとんどは痩せた土地で、干し草の畑、ヤギや牛の放牧地、それらを守る家と小さな教会が点々と丘に広がっている。小さな岩を積み上げて、となりとの境をしめす石垣は自由な曲線を描いている。ヤギも牛もめったにはいなく、コゲ茶の地面と枯れた草がめだつ風景である。
 
 それにしても教会はポツンポツンと立つ家ほどにあるように見える。比率でいって家2~3軒に教会がひとつという感じの地区もあったし、とおくに見える丘には教会ばかり5つ6つ建てられていたりする。

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  7月1日 (土) パラダイス・ビーチへ

  ホテルは朝付きで、パンとオレンジジュース、コーヒーという簡単なものを提供していた。
中米コスタリカから来たという仲の良さそうな中年カップルと話した。彼らは1ヶ月間ギリシアだけを観光するために来たという。
 これが一番ぜいたくだ。ゆったりのんびりマイペースで旅を味わえるからね。私のような「神風特攻隊」のような駆け巡りはいけない。
 彼らは自宅に日本人学生の「アヤコさん」を住まわせているという。スペイン語の勉強をしていてとても熱心でよい子だそうだ。どうぞ、気をつけて旅してください。そして「アヤコさん」の面倒をこれからもよろしくと話した。

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 今日は昨日行ったプラテイ・ヤロス・ビーチから渡船でパラダイス・ビーチに行く。ここはヌーデイストが集まるビーチとして有名だ・・・。とは私が持っているJTBの旅行誌に書いてあること。興味津々、渡船で行ってみた。するとほとんどの客は普通の水着であり、貸し席のビーチチェアに寝転んでいたり、きれいな浜で泳いでいたりする。奥のほうかしらんと進んでみるとたしかにトップレスやなにも身につけない人たちもいた。

 が、多くは年配の人で、もう恥ずかしいという見栄も外聞も超えてしまったような人たちのようだ。
しかし、熟年のはしりのような女性もいて、それはそれでまだ形のよい胸を誇らしげに見せつつ午睡を楽しんでいる。もちろん年配男性もパンツなしで泳いだり歩いたりしている。

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この海水浴場の水はたいへんきれいで、底の砂も小魚も澄んでみえている。私も泳いでみたが、水は少し冷たく、足元に小魚が集まってくるのには驚いた。
 1時間くらい過ごし、そろそろ帰ろうとしたとき、すぐ前の貸し席に若い女性二人が来て、ひとりは堂々とトップレスになり二人して泳ぎにいった。彼女らが戻ってきたので、少し勇気を出して聞いてみた。

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 彼女達はアテネ郊外のピレウスという港町に住んでいて、週末にこの島にときどき来るのだそうだ。
ここは水もきれいで、ほかにもトップレスが多いので見られても平気という。記念に写真をとらせてもらった。

 日本ではちょっと考えられないことだが、欧米においては、裸体もしくは胸やしりなどの部分を大胆に見せることを恥ずかしいこととは思っていないようだ。もちろん個人差が大きいだろうが、人によってはこのステキな胸を見てほしいと思ってさえいるようだ。街ナカでも電車でも胸の3分の2は露出している人達はたくさんいる。

 そういう人達はほんとに立派なお胸をなさっている。自慢のブランドを着こんでいるように、自慢のお胸を見せているわけで、こちらはそれに目をそむけてはいけないのだろうと思う。できればステキですねと、ほめてあげるくらいの優しさが必要なのだろうと思う。
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 これと同じように、これが自分ですと、どんなに太っていようと痩せていようと堂々と水着を召している人達もコチラにはたくさんいる。自分の個性は自分のもの、誰かに恥ずかしいと思うほうがおかしいのであろう。

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 これに対して、私は太っているから痩せなくちゃ、胸が小さいから水着はちょっと・・・などと日本の女性達を困らせたり悩ませたりしているのは、我々日本男性の一方的な標準化要求なのであって、欧米の人間尊重精神からみるとずいぶん器量の狭い話なのである。我々日本男性も、商業的な美の価値基準に惑わされず、個性尊重、人間尊重で異性、同性を見られるようにならないといけない。
 そうしないと、いつまでたっても日本に「パラダイス・ビーチ」は生まれない。

 余談だが、パラダイス・ビーチの次のビーチは「スーパー・パラダイス・ビーチ」といって、こちらはゲイのみなさんが集まるビーチとして知られている。ゲイ、・・・これも個性なのである。


  7月2日 (日)  ミコノス島滞在


    「迷子を楽しむミコノス・タウンセンター」

 ギリシア本土に戻る日である。しかし、船は夜行でしかも23時20分発なのでだいぶ時間がある。
 ホテルに大きいザックの保管を頼み、身軽になってからタウンセンターにむかう。ここで今日は時間をつぶすしかない。タウンセンターというのはふつうにいえば旧市街なのだが、新市街というのもとくにないので、文字通り街の中心という意味である。

⑤ギリシヤ・ミコノス島_d0088834_005131.jpg どの家も白く塗られ、道も曲がりくねり二股にわかれたかと思うと広場に出たりと、サントリーニ島のフィラタウンよりも迷路的である。しかし、ゆるやかな勾配があり下れば港へとむかうし、港へ近づくほど、意匠を凝らしたみやげを売る店や食べ物屋が増えてきて、ここは迷子を楽しむところともいえよう。

 港そばのレストランはたいてい幅広の道いっぱいにテーブルを並べ、さかんに客を呼び込む。ある店の前にはモモイロペリカンが3羽いて、観光客のかっこうの写真のモデルとなっている。

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    「ふたりのアナスタシア」

 昼を食べたが時間も余っているので、木陰のベンチのように石段があるところに腰をおろす。そこは薄く白いこの島特有とも思えるデザインの衣服を商うみやげ店の前で、店番の若い女性がときどき私のとなりにきては同じようにして休む。

⑤ギリシヤ・ミコノス島_d0088834_032724.jpg そのうち、その女性の娘のような少女がきて、落ちている柳のような木の葉をちぎっては私になげてくる。
 その女性は少女をたしなめ、私に「子供はなんでも遊びにしてしまうのね」と詫びる。

 彼女はアナスタシアといい、大学で看護士の資格をとったがこちらでは就職難で仕事につけなかったという。いまは祖母のみやげ店を手伝っているが早く仕事を探したいのだそうだ。結婚はしているのかと聞くと、「とんでもない。私はまだ24歳よ。この子は姉の子でまだ4つだけど、アレクサンドラというの」そして、「仕事について自分の財布をつくってからでないと結婚できないわ」と、少々あせり気味であるという。

 というのも5年前に通貨制度がユーロに変わり、それ以来物価が上がり生活がしづらいのだそうだ。以前は1500ドラクマあれば1週間のこづかいとして、お茶を飲んだり雑誌を買ったりできたのだが、今は5000ドラクマに相当する15ユーロなければダメという。邦貨にすれば2250円ということだが、まことにユーロは強く彼女の話もうなづける。

 アナスタシアというのはロシア的だねというと、昔の民族の移動の結果でしょと笑う。彼女の祖母も同じ名前といい、違う島から60年前に嫁いできたそうだ。そのおばあさんが、二人して話し込んでいるのを見て、キンカンのようなフルーツを持ってきてくれた。私が日本人であることを知って喜び、初めての客が帽子を買ってくれた日本人だったと懐かしそうな顔をする。
 概して日本人は親切でやさしいし、いい客だそうだ。アジア人のなかでは最高だそうで、私もうれしくなった。

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   「ミコノスに教会がたくさんある理由」

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 さて、気になっていた疑問をアナスタシアにぶつけてみた。なぜこんなに教会があるのかということだ。このタウンセンターでも3つも4つも通りに並んでいたり、海ぎわのがけっぷちや、港にもいくつかある。郊外にいくと、人家はないのに教会がいくつも建っていたりする。

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 これはファミリーや親類どうしの廟のような意味もあるのかと聞くと、もちろんそうした意味もあり、亡くなった人の写真を飾ったりもするが、基本的には信仰の証として建てているもので、朝に夕に祈りを捧げられるように自家のそばに建てたりするのだそうだ。

 そしてこの教会にも2種類あって、ギリシア正教会のものとカトリックのものに分かれるそうだ。その見分け方はというと、十字架と鐘がついているのが前者で、カトリックのものにはふつう鐘がないのだそうだ。
 世界史を習ったかたは覚えておいでだろうか。1054年に起こったシスマ(教会大分裂)で、ローマカトリックと相互の立場を分けたわけだが、こうした小さい島でもその両様が見られるというのが面白い。

 彼女たちとの会話はときおり来る客により休み休みではあったが、2時間も続いた。長い時間つきあってくれた二人のアナスタシアとアレクサンドラに別れを告げ、夕食をとりにレストランにいった。

⑤ギリシヤ・ミコノス島_d0088834_08359.jpg ミコノス島はサントリーニ島に比べて、落ち着きのある島のように感じる。この落ち着きは古いいい方でいうと、テレビとラジオの違いに似ているかもしれない。テレビに群がるコマーシャリズムと、ラジオの地味な地域限定コマーシャルとの相違である。おそらくこれは2時間も土地の人と話し込んだ結果に得た親近感の差なのであろう。

 いずれにしてもこの二つの島の美しさは目に焼きついており、いつまでも透き通る海とやさしい人々がそのままであり続けてほしいと願うばかりである。

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by kato-world | 2006-09-07 00:42 | ギリシア
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2006年の夏、ヨーロッパ13カ国の旅行紀です
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